特殊清掃の流れ①

マンションやアパートの部屋などの引き渡しをする際に、次の入居者を迎え入れるための原状回復が行われます。原状回復では、ハウスクリーニングなどの清掃や、壁紙やカーペットの貼り替えや劣化した部品の交換などが主な内容となります。

孤独死や自殺などが起きてしまったいわゆる事故物件(心理的瑕疵物件)の場合、原状回復の際に「特殊清掃」と呼ばれる、文字通り「特殊な清掃」が実施されることがあります。ここでは、事故物件などの原状回復で採用される、特殊清掃の流れについて解説していきます。

1.害虫駆除

特殊清掃を実施する部屋の中には、遺体から発生したハエやゴキブリなどの害虫が蔓延しています。まずはそのような害虫が他の部屋や他の建物などに移らないように、しっかりと駆除をしておきます。最初に害虫を駆除することで、その後の作業も進めやすくなるためです。

2.回収・撤去

続いて遺体のあった場所の布団や畳、カーペットやフローリングなどの回収および撤去を行います。遺体のあった場所には体液が染み込んでいるため、なるべく早く外に出すことで、腐敗臭を取り除きやすくします。

3.拭き取り・洗浄

壁や床に染み込んだ体液などの汚れを、雑巾やブラシなどを使用して拭き取ります。汚れが厳しい場合には、壁紙や床材の交換をすることもあります。現場の状況によっては、壁紙の基礎部分の石膏ボードや、床下の板などを新しいものに交換することで、臭いのもとを完全に断ち切ります。

特殊清掃の流れ②

「特殊清掃の流れ①」では、遺体から発生した「害虫駆除」、遺体のあった場所の布団や畳などの「回収・撤去」、遺体から出た体液などの汚れの「拭き取り・洗浄」までを取り上げました。引き続き②では、その後の作業の流れについて解説していきます。

4.消臭剤と消毒剤の噴霧

遺体のあった場所は、かなり念入りに拭き取りや洗浄をしたとしても、「独特の臭い」が完全に消えることはありません。そのため、専用の機器を使用して、消臭剤や消毒剤を噴霧します。壁紙や床材の交換をした場合も同様に、消臭剤や消毒剤をまんべんなく噴霧します。

5.遺品整理

遺品整理とは、部屋の中にある故人が残した品物の中から、遺族にとって形見の品となるものなどと不用品を分ける作業です。特殊清掃が必要な現場の場合、家具などに染み付いた体液などをきちんと拭き取りつつ、遺品整理が進められます。

遺族が特殊清掃の現場に入って遺品整理を行う場合には、この段階で初めて入ることができるようになります。感染症などのリスクを最小限にするためです。

遺品整理で残されるものには、現金や預貯金通帳、宝石や貴金属、絵画や彫刻などの骨董品、楽器や書籍などがあります。他にも故人の写真や持ち物など、遺族でないと判断できない品物も多くあるため、事前の打ち合わせがかなり重要となります。

6.仕上げの清掃

遺品整理が終わりましたら、仕上げの清掃に入ります。この清掃はホコリやゴミを取り除く通常の清掃と特に変わりはありません。ただし、最後の仕上げに部屋全体の消臭や消毒を行う点で違いがあります。

特殊清掃業者を選ぶ3つのポイント

自殺や孤独死などのいわゆる事故物件の原状回復で利用される特殊清掃は、歴史の浅い業界のため、悪徳業者の被害に遭うケースも少なくないようです。ここでは、特殊清掃業者を選ぶための3つのポイントについて解説していきます。

1.作業内容が明確なこと

きちんとした特殊清掃業者のホームページには、遺体の腐敗臭を消臭するための作業内容や使用する機器や薬剤が掲載されています。消臭効果については実際に利用した人の話を聞いてみるしかありませんが、気になるところがあれば業者との見積もりの際に質問をしてみましょう。

2.費用は高すぎず安すぎず

前述したように、特殊清掃は歴史の浅い業界のため、費用の相場がきちんと確立されているとは言い難い部分があります。中には激安価格で興味を持たせた後、作業後に高額の費用請求をすることもあるようです。極端に安すぎるところは候補から外して探すようにした方がトラブルを未然に防ぐことにつながります。

3.遺品整理も行っている

特殊清掃業者の中には、遺品整理も同時に行っているところもあります。特殊清掃の現場には、故人の残した品物があります。すべてを不用品として処分してしまいますと、遺族への形見の品が残らないことにもつながります。

そのため、特殊清掃の作業を進めつつ、遺品整理も行うことが重要です。遺品整理を行っている場合、ホームページに記載されていることがほとんどのため、そうした業者に絞っていくと、見つけやすいかもしれません。

正しい特殊清掃業者の選び方

アパートやマンションなどで自殺や孤独死などがあった際に利用される特殊清掃は、専門の業者でないと対応できません。

どこの業界でもそうですが、特殊清掃にも悪徳業者と優良業者が存在します。特殊清掃のような歴史の浅い業界にはありがちなこととはいえ、やはりできることなら優良業者を選びたいものです。ここでは、正しい特殊清掃業者の選び方を紹介していきます。

まずは3社に絞る

知り合いに特殊清掃業者がいるならばともかく、大抵の場合は誰かの紹介かインターネット検索で特殊清掃業者を探していくと思われます。ホームページをチェックして、めぼしいところが見つかりましたら、その中から3社に絞って連絡をします。

作業内容について質問する

連絡を受けた3社からそれぞれ担当者が来訪して見積もりを取ることになりますが、その際に必ず作業内容について質問するようにしてください。特に遺体の腐敗臭の消臭方法についてはきちんと聞いておく必要があります。

どのやり方が正しいのか?ということをチェックするというよりも、その際の対応を見ることがポイントとなります。拙い言葉であっても誠実に答えてくれるようであれば、良い仕事をしてくれる可能性が高くなります。遺品整理の内容も確認しておきましょう。

費用が安すぎるところは避ける

特殊清掃業者の中には、激安価格を前面に打ち出しているところもあります。本当に激安なら良いのですが、実際には素人同然のアルバイトを雇用することで費用を抑えたり、不用品を不法投棄することで処理費用を節約するケースもあるようです。

特殊清掃を専門業者に依頼する3つの理由

ここでは、孤独死や自殺のあった事故物件の原状回復で、特殊清掃の専門業者に依頼する3つの理由について解説していきます。

1.「消臭」に特化している

通常の原状回復であれば、表面的な汚れを取り除くだけで充分なため、ハウスクリーニングや物件の管理者などの清掃で引き渡しが完了します。

ところが、事故物件の原状回復の場合、汚れはもちろんですが、遺体の腐敗臭が一番の問題となります。そのため、腐敗臭の消臭や消毒を存分に理解している、特殊清掃の専門業者が選ばれることになります。

中には、ハウスクリーニングをした後に、どうしても臭いが消えないため、改めて特殊清掃の専門業者に依頼したというケースもあるようです。

2.遺品整理に理解がある

特殊清掃の専門業者は遺品整理への理解があり、遺族にとって必要なものと不用品をきちんと分けてくれます。

一方で、遺品整理業者の中には、不用品回収業者が混じっていることがあるため、遺族にとって大切な品物もそうでないものも、すべて一緒に処分してしまう危険性があります。

3.リフォームが必要ない

特殊清掃では、遺体のあった場所の床や壁の清掃だけでなく、新品に交換することでより一層、腐敗臭の消臭を完璧なものにします。クロスやカーペット、畳やフローリングはもちろんのこと、体液の染みこみ具合によっては、基礎部材も交換することがあります。

そのため、リフォーム工事の必要性がほとんどなくなります。特に売却物件の場合、購入者の趣味によっては、せっかくのリフォーム工事が無駄になるケースもあるようです。